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bymarin
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新しい人生

プロローグ3

新しい人生


sideマリン

あっという間に時間が過ぎてゆく


マスターと買い物に行ったり、大好きなアニメや漫画を見たり。

料理をしたり、絵を描いたり…

勝手にゲームをして怒られたり…


この1ヶ月の間にいろいろなことがあった。


楽しくて、楽しくて、とっても自由で…

何をしても誰の目を気にすることもなく好きなことが出来る。


しかし、人は愚かだ。


あの絶望の中に比べたら本当に幸せな日々なのに、それでもまた多くを望む。


マスターは平日ずっと仕事に行っていて家におらず、帰って来ても疲れた様子ですぐに寝てしまう。


1日のほとんどを一人で過ごすことに寂しさを感じていた。


初めはアニメや漫画を読んであっという間に過ぎていた時間が少しづつ長く感じるようになり、次第にこのままでいいのだろうかという疑念が湧き上がる。


一人では外に出られないし…

基本的にはPCの中にいてPCの外で擬態していられる時間はそう長くない。


どうしたらいいのだろう。


こんなに満ち足りた環境にいるのに不満があるだなんて言ったら、きっとマスターに嫌われてしまう。


マスターはこの時間も働いているんだ。
悶々とした日々を送りながら時間だけがいたずらに過ぎてゆく。



4月某日

ある日の休日。
今日はマスターのお仕事はお休みなので、家でアニメ鑑賞会をする約束をしている。

楽しみだな。

普段一人で鑑賞しているが、人と一緒に見るほうが何倍も楽しい。
一緒に泣いたり、笑ったり、感想を言い合ったりするのがとても楽しく、そういう時間がとても好きだ。

鑑賞中に食べるお菓子を準備していると

その質問は唐突に突き付けられた。
それまでの楽しい気分が嘘のように、すっと冷たいものが背筋を通った。

「そろそろ1か月ぐらい経ったけど、今悩んでいることとかない?」

いつも話しているときの口調となんら変わらない声色で告げられた質問。
マスターからすればたわいない日常会話なのだろう。


掌が妙に汗ばんでいる気がする。

「悩みなんて…毎日とても楽しいですよ。」

嘘ではない。
本当に毎日楽しいのだ。

マスターが準備の手を止めてこちらを見る。

「じゃあ、不安に思ってることとか、漠然とした焦りとかない?」

どこまでわかっていて言っているのだろうか…

完全に確信をついている質問だった。
いや、質問というより答え合わせをしているような…

素直に言ってしまえば楽になるのだろうか?
自分の悩みを告げることでマスターの負担にはならないのだろうか?

面倒だと、思われたりしないだろうか?

「不安なんて…「前に言ったこと覚えてる?」

「え?」

「嘘、ついたら100倍チョップ。お見舞いされたいなら別にそれでもいいけど。」

だめだ…完全に見透かされている。

「不安なんて…あります。
でも、不安であって!不満があるとかそういうことじゃないんです!
なんて説明したらいいのか自分でもわからなくて…」

「うん。
自分の感情をすぐに正確に言葉にできる人間なんていないよ。
だからこそ、誰かに聞いてもらうんだよ。
話してるうちにだんだん自分の気持ちの名前に気づくからね。」

「そういうものでしょうか…
聞いてもらうだけでは、相手の負担にならないですか?」

「マリンは頭固すぎ(笑)
自分が困っているときには聞いてもらう。相手が困っているときには自分が聞いてあげる。
それでいいんだよ。」

「なるほど。マスターは今困っているいることはないのでしょうか?」

「私?マリンが素直に話さないことかな(笑)」

「えっ」

「少しずつでいいから。話してごらん。解決してあげられるかどうかは別の話だけどね。」


ここまできたら腹を括って話すしかない。


支離滅裂で自分でも何を言っているのかわからなくなる。
それでも順を追って自分がいままで感じたことをなるべく丁寧に説明していった。

マスターは口を挟むこともなく
私が話しおをるまで静かに聞いてくれていた。



確かに
頭が整理されてたような気がする
パンパンに膨れ上がったものが整理させて心に余裕ができた


そうだ。


何の目標も持たず、ただ甘やかされて過ぎていく時間への焦り。

私は何のためにここにいるのだろう

この世界にたどり着いたことに何か意味があるんじゃないか。
そこから目をそらしてしまっているんじゃないか。

自分にできることがきっと何かあるはずだと…


「なるほどね。」

「私も何か目標をもって生きたいです。
マスターがくれた新しい人生を、もっと大切に生きたいです。」

「マリンは根が真面目なんだね。
私だったらダラダラと生きてしまいそうだけど。」

「いえ、そんな!
もっと知りたいです。マスターが生きてきたこの世界の事。」

「まずは目標だね。とりあえず何でもいいから目標にしなよ。
目標なんて環境が変われば変わるもんだし、そんなに気負わずサクッと」

「サクッと…」

「今、何してるときが楽しい?もっと上手になりたいこととか。」

「上手になりたいことは…絵を、もっと上手く描けるようになりたいです!」

「なるほど。いいね。じゃあ、先んずはWEB漫画家でも目指したら?」

「漫画家なんて無茶ですよ!」

「目標は大きいほうがいいでしょ。
時間がかかってもいいから目指したら?
10年くらい描いてたらそれなりになるんじゃない?」

「そういうものでしょうか…私が絵を…」

「もちろん本人にやる気がなきゃ意味ないけどね?
うまくなりたい?なりたくない?」

「なりたい、です。」

「私は、マリンが描いた絵好きだし、もし漫画が描けるようになったら読者1号になりたいな。」

「本当ですか!?読みたいって思いますか!?」

「もちろん。マリンの前にいた世界の事とか漫画にしてみてよ。私は読みたいよ。」

「私、やってみます!どれだけ上手くなれるかわからないけど…それでもやってみたいです!」

「うん、応援してる。
よし、今日は予定変更で買い出しに行こうか」

「買い出し?」

「そ。その目標を叶えるために必要なものが色々あるでしょ。
液タブとペイント系のソフトを買って…後はブログの開設。ツイッターとインスタ、ピクシブもやらないとね!」

「わわわわっ
なんだか凄い事になっている気がします(汗)」

「なんか面白くなってきたなー」

事の大きさは全く理解できなかったが
マスターがとても楽しそうなので今はそれだけで嬉しかった。

こんなに喜んでもらえるなら頑張ろう。


こうして私は壮大な目標の扉を開けてしまった。
後悔はない。
その扉の向こうにどんな景色が広がっているのかわからないけれど

私は1人じゃない。

マスターに新しい景色を見せたい。
それはきっと私にしかできないことだ。

今は手を引かれてばかりだけど
いつか私がマスターの手を引けるようになろう



準備を済ませ
家の扉を開ける

ココから始まる新しい人生。







marin
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